ゼロ



この世界は、砂漠だった。

何もなかった、僕のこの世界。

全てが意味のないことに見えていた。


半端な秩序と、暴力が支配している学校。

見て見ぬふりをする教師達。


仲の悪い両親。

二人会えば、貶し合い、罵り合う。


暖かい家族は無く、話す友人もない。

いつも冷たいコンビニの食事をとった。


親は僕のことなど眼中に無い。

そこには、自由があった。


冷たい自由。

そんな自由に飼い慣らされて、生きてきた。



君に、会うまでは。








この世界は、大きな光だった。

全てが輝いていた、君の居るこの世界。

全てが希望に見えていた。


大胆で、思い切った行動をとる君。

その光は、僕を優しく包んでいた。


いつも仲良く一緒に居た。

二人会えば、いつも笑い合うことが出来た。


暖かい、初めて味わった温もり。

君が隣に居るなら、それだけで暖かい気持ちになった。


僕は君しか眼中に無い。

そこには、確かに、僕の居場所があった。


君に振り回される、流される。

自由はなくとも、幸せが、確実に、そこにはあった。



君に、会ったから。







君という光を求め、いつしか人が集まってきた。

彼らは、僕とも話すようになった。

一緒にコンビニへ行った。

一緒に花見に行った。

一緒にプールに行った。

一緒に花火をやった。

一緒にだんごを食べた。

一緒に月を見た。

一緒にスキーに、行った。


そこで。

なだれが起こった。

なだれが、僕らから、奪い去った。


光の輪を。僕らを囲んでいた、光の輪を。




君という、光の輪を。








この世界は、砂漠になった。

何もなくなった、僕のこの世界。

全てを包んでいた光が、去った。


スキーを提案したのは、僕だった。

皆、僕を見て見ぬふりするようになった。


仲の悪い両親とは違った。

道で会っても、貶し合わず、罵り合わない。


話すことも、共に笑うことも。

いつものコンビニの食事は、冷たかった。



太陽を失った世界は、凍りついた。


僕は、変わらなかった?

違う。


会いたい。

今会いたい、すぐ会いたい。

この、砂漠の真ん中で。



ここにはある。



ゼロだった世界に、一つだけの真実。




君への想いが。




僕を前へと進ませる。




時雨様のHPに投稿させていただいた作品。
B'zの稲葉さん、Janne Da Arcのyasuさんの影響が強いですね。
結局、自分は何を書きたかったのか?
自分は、ゼロからワンへの移り変わりを描きたかったんです。
主人公は、人に流され流され、生きてきました。
そして最後に、自分の意志を、強い意志を持つんですね。
叶わぬ、願いを。
読者の心の隅っこにでも残る作品になったらいいなと思いつつ。
以上っ!

作者:バール



注:この作品の著作権はバールにあります。多分。
よって、転載許可はバールに申請し、許可が出た場合のみ転載可とします。
まぁ、拒否なんてめったにありませんのでご安心を。
え?いらない?そうですか。
使用の際は、必ず作者がバールであることを見やすい位置に明記し、
このHPへのリンクを貼って下さい。
上記のことが守られない場合、掲載許可を取り消します。

追記
この小説、というか長い詩?の感想を、バールは心待ちにしています。
ぜひ、掲示板に書き込んでやってください。
褒めてあげれば、きっと付け上がってまた書き出しますよ?

違う小説を書いて欲しい、という依頼もOKです。
っていうか、依頼待ってますので♪






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